会報
会報第15号―――2001年3月12日発行


ことば「気順」


薛永斌

交流会

「わたしの太極拳」

遠藤瓔子

「推手との出会い」

佐々木敏子


ことば

薛永斌

気順[qishun];気功と太極拳を練習するとき、手や足、体が温かくなり、手のひらはむずむず感じます。
激しい運動ではないのに、手のひらの色が赤くなるのは体の血液の流れが良くなっている証拠です。また全身に細かい動きと充実感が感じられます。
これは気功あるいは太極拳だけの、いわゆる「気順」状態であり、この状態が健康に繋がります
気順状態に達するには、調身、調心、調息が必要です。調整のポイントはたくさんありますので、初心者にとって少し難しいかもしれません。しかし基本の3ポイントを実行すれば、徐々に気順状態に入ることができます。

  1. 腰を中心とした円運動
  2. 気持ちを丹田に
  3. バランスを意識する

最初はうまくマスターできないかもしれませんが、焦らずに続ければ、必ず気の感じを味わうことができます。そして健康への効果を実感できるでしょう。

第16回交流会(2000.11.18)/戸山公園での共同練功

第16回交流会(2000.11.18)/戸山公園での共同練功


交流会

第16回交流会は昨年の11月18日午後1時半から4時15分まで新宿スポーツセンターで行われました。戸山公園で共同練功した後、本部の薛永斌は「気功と太極拳の異同」というテーマで講演しました。

第17回交流会は5月12日(土)午後、新宿角筈センターホールで開催します。大成功の第13回交流会に続いて、今回は2回目の各教室の皆さんの表演交流会を行います。皆さんの積極的なご参加を期待します。また今回は必ず前回より成熟した素晴らしい表演会になることを確信しています。

「わたしの太極拳」

遠藤瓔子さん横浜市都築区
遠藤瓔子

無極静功を始めて約六年になります。きっかけは、あるスポーツクラブでたまたま見かけたレッスン風景でした。
あの指導者はなんて大きく、ゆったり、美しく動くんだろう……。しばし見とれた後、すぐにそのレッスンに参加することを決めました。気功というものに何の知識もなく、興味もなかったのですから、まさに一瞬の出会いが、私と気功を結びつけたことになります。

早く覚えたい

運命の流れはしばしば偶然を装って訪れてきますが、後で数々の必然に繋がってゆくたびに、それが偶然ではなかったことを知らされます。気功との出会いもまた、偶然ではなかったことが数年たって分りますが、それはまた後で述べることにします。
週に一度のレッスンに参加しているうちに、これはなかなか手強いものである、と感じ始めました。指導者のような大きな動きを手に入れるのは容易ではない、と分かったのです。そこで、レッスンの回数を増やしたいと思い、個人的に教えてもらえないかと尋ねました。すると高橋指導員から「私は個人レッスンはしていませんが、この近くなら十日市場教室がありますから、そちらへ行かれたら?」と教えられ、十日市場教室へ通うことになったのです。
スポーツクラブと教室と、週二回のレッスンに通いながら、しかし最初のうちは気功が身体に及ぼす効果というようなものや気を感じる、といったことの実感はなく、ただ、先輩方のような美しく大きな動きを得たい、とそれだけが目的でした。なにしろ私はエエカッコしいなのです。気功の後で練習する太極拳も早く覚えたい、と思いました。

《繰り返す》ということ

ところが、段々に分かってきたのですが、気功、太極拳に関しては、"早く"は意味がなかったのです。気功の功の字は、繰り返す、ということで、毎日練功することによって少しずつ上達していき、そのために長い時間が必要なのだ、ということを知ったのです。"早く"技を手に入れなきゃ、と焦り気味の私でしたが、それに気がついたとたん、逆に気分が楽になりました。下手でもいいんだ、毎日やってればそのうち上手くなる、とは、なんと気楽ではありませんか。少しも焦る必要はないのです。ガリ勉することもないのです。

第二の記念日

とはいえ、毎日練功をする気にはなれませんでした。根が面倒くさがりやだったからです。一時間も練功するなんて面倒くさいや、と、自宅ではやらなかったのです。それが、ある日をきっかけに、毎朝起きるとすぐに練功をするようになったのですから、というよりやらずにはいられないようになったのですから不思議です。最初に気功に遭遇した日が一番目の気功記念日としたら、この日は私にとっての第二の記念日です。
江ノ島での一泊二日の合宿、これがその日でした。翌々日、つまり合宿から帰った次の日の朝、なんと、起床するとすぐに練功したくなったのです。面倒くさがりやが、たった一回の合宿で変身してしまったのです。それから現在まで、一日一度の練功は習慣となりました。まるで歯を磨くように、起きたら、練功、が癖になったのです。

お土産つき?

合宿の効果はそれだけではありませんでした。参加するたびに意識や身体になんらかの良い兆しが訪れ、私を驚かせました。いつもお土産をもらって帰っているわけです。お土産つきの合宿、というわけです。
やがて、無極静功との出会いが偶然ではなかったことが分る時がきます。ある出来ごとで著しく体調を崩し、しかも医薬の力は何の頼りにもならないと知って、行きつく先は気功しかありませんでした。持ち直すのに一年ほどかかりましたが、現在は全く元へ戻っています。無理をせず鍛える、老年の生活にピッタリの健康法こそ、気功、太極拳だ、と61才の現在つくづく実感している次第です。

(十日市場教室)


「推手との出会い」

佐々木敏子さん東京都小金井市
佐々木敏子

体調が悪くて、指圧に通っていましたがそのうち指圧の先生が「外からの治療に頼るばかりでなく、自分自身の中から良くなるように気功をしてみたらどうですか」と無極静功を紹介してくださったのが私と無極静功との出会いの始まりでした。
通い始めたものの気功の良さも面白さもなかなか感じられず、立って腕を上げていることが本当に辛く、いつやめても不思議ではなかったのですが、指圧の先生の手前もあって石の上にも3年と自分に言い聞かせて通い続けました。

研修会で…

2年半が過ぎた頃から、知らず知らずのうちに気功に対してもっと前向きに取り組んでいきたいと思うようになり、やっと十二法の順番が覚えられたので、研修会に出席するようになりました。
研修会で理論を学ぶ事によって、漠然と見様見真似でやっていた動作の意味が少しづつ頭の中で整理されていったように思います。
そして、そのころから合宿にも初めて参加するようになりました。合宿では推手を練習する時間が沢山ありました。しかし体の動かし方もわからず、教えていただいても、その通りに体が付いていかなくて、相手の方に申し訳なく思うのと同時に、情けない思いもしました。
気功を習いに来たのに何故、推手をやらなければならないのかしら、とも思いました。

推手の面白さ

ター手(中節)をする佐々木さんそう言うわけで推手に対して苦手意識を持っていたのですが、しばらくして研修会でも推手を練習するようになり少しづつ慣れてきて、推手が嫌でなくなったばかりか、相手との攻防を通しての緊張感や面白さ、動くことによって汗をかく爽快感に魅力を感じるようになりました。
初めのうち、相手の中心を狙ってまっすぐに攻める事ばかりに夢中で気持ちと体が前へ前へと行ってしまい、そのせいか先生や他の方にも攻撃的ですね、とよく言われました。
何の疑問も持たずに全力で懸命に頑張ってやっていた状態が長く続いていたのですが、練習を重ねていくうちに、手に力が入り過ぎている、手の力だけでやっていることに気づきました。
ある時、先輩との推手で簡単に流されて逆に攻め込まれ、「力が入っているから力の方向が分かる」といわれました。力が入っているという事は、疲れるだけでなく、相手にこちらの動きを読まれて、すばやく対応されてしまうので、不利な状態を招いてしまうのです。
力を抜くようにしなければと意識しても、なかなか抜けないのは、体の状態が良くないからで、下盤の安定、手と腰がつながる事、上虚下実に欠けていることに、多くの原因があると思いました。
防御においては、相手の力とぶつからず、相手の力を受け取ってから流すようにと先生から指導されているのですが、受け取れずに、すぐに流してしまったり、受け取りすぎて自分の体勢が崩れてしまったりします。
受け取る事が上手くいかないのは、腰が不十分であり、くわがゆるんでいないので懐が浅くなってしまうからではないかと思いました。
また、流すと言う事でも、相手のスピードが速かったり、力が強かったりすると、反射的に手だけで無理やり流そうとしてしまいますが、それは、腰が動作の中心になっていない、腰がスムーズに回転しない、体の上下、手と腰がつながっていないなど、沢山の問題があるからです。

十二法を注意深く

このように、推手練習は、私の不充分なところを、はっきりと認識させてくれます。
その認識をふまえて、最も基本である十二法を注意深く淡々と練功することが、最善の解決法であると思います。
そして二十四式の套路練習の重要性も推手を学ぶようになって改めて実感出来ました。套路での正しい姿勢が推手に生かされるからです。
実戦がもととなって完成した合理的で無駄の無い動きの二十四式の、ひとつひとつの動作の意味を理解し、動作の正確性を求めていく套路練習が推手の上達には不可欠であると思いました。
気功と太極式の套路練習と推手は密接な相互関係にあり、相乗効果が期待出来るので、これらを同時に学べる私たちは恵まれていると思います。

四両千斤の夢

まだ自分の体を整えるのに精一杯の私ですが、相手と交流の出来る推手、相手の動きを察知して素早く対応出来る推手(聴勁)を目指していきたいと思っています。
そしていつか四両千斤の域に到達できるようになるのが夢です。
運動オンチで弱々しかった私が武術をやるようにまでなったのが本当に信じられないくらいです。
入門して6年半になりますがここまで続けてこられたのは、いつも熱心に誠実に指導して下さる薛先生をはじめ、丁寧にアドバイスしてくれる先輩方、暖かく接してくれる教室の方々のおかげです。
心より感謝しております。


会報15号の目次

会報14号


ホーム

連絡先

Copyright (C) 2000 無極静功日本 All rights reserved
( WUJIJINGGONG JAPAN )
info@taiji-wuji.org