本部土曜日初級教室
星 飛雄馬
站椿功と行歩法
無極静功と出会って、はやくも4年の月日が経とうとしています。私がここまで楽しく無極静功を続けることができたのも、常に周囲の人々の優しい励ましがあってのことでした。
格闘技が大好きであった私は、10代のころから、さまざまな格闘技や武術に親しんできました。しかしながら、格闘技に取り組むなかで常に疑問であったのは、練習を通して培った技術を高齢になっても使えるだろうか、ということでした。金庸などの武侠小説の世界に憧れていた私は、小説中の達人のように年をとっても強さを維持できればと思っていました。
そんな疑問を持っていた私は、親友のH氏に相談をすることにしました。H氏は意拳を学んでおり、中国武術に明るかったため、その疑問をぶつけてみたのです。H氏は私の質問に親切に答えてくれました。彼の語るところによれば、年をとっても強さを保つためには、站椿功や行歩法をしっかりやらなければならないということでした。私は彼のアドバイスに従って、站椿功や行歩法が練功の内容の中心となっている道場を探しました。そうしてようやく、無極静功とめぐり合うことができたのです。もし、H氏の存在がなければ私は未だに無明の闇をさまよい、修行を開始することができなかったかもしれません。
素晴らしい出会い
無極静功に入門してからも、素晴らしい出会いは続きました。多くの先輩、同輩の方々に導かれてきましたが、そのなかでもとりわけ、川上 裕之さんと大丸 敏之さんにはお世話になりました。
川上さんは入門当初から何度も推手の指導をしてくださいました。川上さんの推手は力強いもので、その内面の強さに憧れ、少しでも近づきたいと思いながら練功に励んできました。またそのアドバイスはいつも慎重かつ丁寧なものでとても参考になるものでした。
大丸さんにも以前から何度も推手の稽古をつけていただきました。大丸さんの推手は懐が深いもので、その練習から私は無極静功の相手を無力化し、コントロールする技術の奥の深さを体感することができました。また、練功法のことなどについて細かなアドバイスをいただき、それが今日まで大変参考になっています。
土曜の教室で
私は昨年から、本部の土曜日の教室で稽古をさせていただいています。この教室でも、椎名 泰明さん、二瓶 克義さんとの幸運な出会いがありました。
椎名さんは柔道の経験者で、いつもパワフルな攻めをしてきてくれます。どんどん勢いを増してくる椎名さんの攻撃をどうしのぐか考えることが、私にとっての毎週の課題になっています。二瓶さんは中国武術をはじめ、日本武道の経験もあり中途半端な攻撃では通用しない受けの強さを持っています。防御力の高い二瓶さんにどう攻撃ができるかも、私の課題になっています。
意識した練習のために
薛先生が以前書かれた文章で、推手の練習においては、その練習の目的をはっきりと意識して練習に取り組まなければならないとありました。その意味でも、自分に克服すべき課題を与えてくれる練習相手の存在は、とてもありがたいものだと思っています。
まだまだ書き足りない多くのありがたい出会いがありましたが、紙幅の都合でここにすべてを書き記すことはできません。それでも私の拙い経験を振り返って思うことは、武術を通じての友人との出会いは大変貴重なものであり、生涯を通じて大切にしなければならないものであるということです。友人との出会いは、求めても得られるものではなく、縁としか言いようのないものを含んでいるように感じます。そんな宝物のような関係を自分の軽率な行動で破壊してしまうことのないよう行動していかなければならないと思っています。
そして間違うことが多く、成長の遅い私を根気強く教導してくださっている薛先生には心から感謝しております。先生や仲間とともにこれからも楽しく練功していけることを願っています。
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