本部教室水曜日夜教室
海老原世津子
今回、夏合宿に初めて参加させて頂きました。あっという間の1泊2日間、自然の中で気功三昧となり、山の空気をいっぱい吸って元気を頂きました。夏合宿の目的は、太極拳推手など武術実技の強化練習ということで、「それは暑くて厳しい!」という評判も聞いていましたが、合宿を終えての感想は、「あー、楽しかったー!」の一言で、名残惜しいような、もう少し続けていたいような、しかし帰りの電車の中では、心地よい疲労感と満足感で満たされ、御岳山を後にしたのでした。
7月17日は大安、快晴、新宿からJRで約1時間30分、御嶽駅着、更にバス、ケーブルカーと乗り継いで御岳山駅、いつの間にか山は深く、東京も広いものだと思いました。昼食に茶屋で熱いそばを頂きますと、みるみる汗をたっぷりかく暑さでした。山道を歩くこと数分で、お世話になる御岳ビジターセンターの体育館に到着しました。
2日間を通し、12法、太極24式、定歩、活歩の24式、推手の平円、立円、折畳円、活歩推手、搨手、108式、剣と一通り練習しますが、やはり推手など武術練習に多くの時間が当てられているように思いました。推手は教室で行うように練習しますが、いつもより長い列ができます。日頃顔を合わせることの少ない人や、中には初めてお会いする方もいて、このような交流が、合宿の一つの楽しみでもあります。推手をして手を合わせると、本当に皆違う、同じ人がいないことがわかります。柔らかい人、強い人、ストレートな人、どっしり安定している人、余裕な人、教室で合う人は、知っているという安心感があり、逆に初めて会う人はなかなか読めないものです。足をダン!ダン!と床に打ち鳴らし、迫力ある組、自然に活歩になって、壁まで追いつ追い詰められている組、それぞれに白熱していますが、日常を離れ自然の中にいるせいか、何度も笑いの輪ができ、終始和やかな雰囲気が流れているように感じました。
推手では、できるだけ力を抜き相手の勁を聴くように心掛けているつもりですが、力のある相手の前につい力が入ってしまいます。立円、折畳円を習うようになり、ボーッと勁を聴こうなどとしていたら、すぐに打たれてしまいます。力を抜く力が必要で、内面のつながり、充実が必要になります。先輩にお聞きしても、静立養気法や静坐養神法など静功の大切さをおっしゃる方が多く、私もそのように思います。また、相手の小さな力や方向、変化がみられるように、套路においては空気の抵抗を感じるような(できなくても)つもりで練功しようと思います。
夏合宿のもうひとつ大きな要素は、何といっても自然です。ウグイスの声、夕暮れ時のヒグラシの「カナカナカナカナ」と鳴く声が、私は大好きです。例年は山百合が美しいということですが、今年は山百合には少し早いようで、照りつける太陽のもと紫陽花が満開でした。澄んだ山の空気の中で、朝の練功をすることは、何と気持の良いことでしょう。もうひとつ、宿のお料理を思いつくままに上げてみます。鮭のホイル焼き海老ホタテ付き、あゆの塩焼き、マグロの山かけ、カボチャと厚揚げの煮物、ソーメン、刺身コンニャク、梅の甘露煮、干柿と柚子の菓子風等など、心のこもった丁寧に作られたもので、どの合宿よりも豪華ではないでしょうか。
また、練習中に休み時間の前には、機を逃さず、冷たいお茶が届けられ、これが汗だくの身体には何よりおいしいのです。滞りなく全てが進行していくのは、係りの方の前準備が十分為されているからだと思いますが、大変な事を少しも大変でないように、皆と同じように気功をしながら、全体に目を配り行き届いている様子は、推手と共通するものがあるように思います。更に全体をみていて下さる先生のもと、無事、何事も無く、安心して合宿を楽しむことができました。本当にありがとうございました。
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