研究レポート

太極拳八法について

橋本 洋一

橋本洋一さん

 自分の知識を整理する目的で、太極拳八法のマインドマップ(*1)による表現を試みました。ここに示すのは、現時点で私が懐いている太極拳八法のイメージを表現したものです。理解の至らない点もあると思いますが、一つの例としてここに示したいと思います。

(*2)

 は八法の基本をなすものである。他の六つはを基礎として発展させたものと考えることができる。そこで最も基本的な概念としてを示したのが図1である。
は体全体で形成する円あるいは弓の形であり、あらゆる動作に含まれる。局所的に力を入れることを避け、体全体の調整による内部のつながりを形成する。
は腰を中心とした円運動である。球体を押すと転がりながら力が逸らされ、直接中心に力を及ぼすことは難しい。同様に腰を中心に回転する動きは、相手から受ける力を大幅に減少することができる。

fig.1

図1

●採、

 採とも腰を中心とした円運動である。その点ではと同様である。では、その相違点はどこにあるのか。ここでは相手との間合いの変化に注目してとの相違を表現することにした(図2)。
 採は相手との間合いを狭める円運動であり、は間合いを広げる円運動である。間合いが近ければ攻撃に転じやすく、間合いが広ければ防御に有利である。従って、戦略的な視点で捉えれば、採は攻撃重視、は防御重視と分類することもできるだろう。
 図2では採、を?の細分化したものとして表現している。間合いに変化がない場合を狭義のとして同じ階層に追加している。広義のは採、を包含するものである。

fig.2

図2

●肘、靠

 肘は肱の、靠は肩・胴部の運用法だが、このマップではのバリエーションと位置づけた(図3)。肘、靠と対比する上で、狭義のは手を接触点とした円・弧の形成と捉えた。
 肘はひじを接触点として意識した、靠は肩(胴、頭を含む)を接触点として意識した円・弧の形成と考える。と同様、肘、靠も防御においては相手の力を分散し、攻撃においては全身の力を効果的に伝達するための身体制御技法である。
 私個人としては、手、肘、肩と体幹部に近づくにつれ制御が難しくなるように感じている。もしかすると、勁の習熟度という観点でも特徴づけできるのかもしれない。

fig.3

図3

●擠、按

 擠は陰陽、虚実を瞬時に交替し、暗勁を効果的に用いる技、按は相手の力を分散させる技である。では、を根とする系統の中で、これらはどこに位置づけられるだろうか。私は基礎をなすに対して、擠・按は応用技法として位置づけられるものと考えた。
 擠を陰陽・虚実を瞬時に交替する技として捉えれば、相手に力を及ぼす点(ここでは作用点と称す)として、虚の点と実の点が存在する。按は相手の力を2つに分ける技であり、これにも作用点が2つ必要になる。そこで「2つの作用点」の存在を共通する要素として考えた。2つの作用点を利用する応用技法、それが擠と按である。
以上を表現したものが図4である。

fig.4

図4


 この図4が、太極拳八法について私のイメージを表現したマインドマップである。これにさらに細かな枝を追加することも可能であるし、これとは別の視点で枝を形成するマップを考えることも可能だろう。
 実際の動作においては、ここに示したような特徴それぞれが単体で現れることはなく、複数の性質を備えた動作になるだろう。しかし、それぞれの勁の違いや共通点を考えてみることが、より深い理解を得るための助けになるものと、私は考えている。  ここに示したものが、太極拳について学ぶ皆さんの参考になることを願う次第である。


(*1)トニー・ブザンが提唱する思考ツール。マインドマップ作成にはFreeMind(フリーソフト)を用いた。 (*2)手へんに「履」を書く文字が扱えないため、本文では「」を用いる。

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